第5回「翻訳家・多言語習得者/亀井雄三さん」 カテゴリ: インタビュー


 

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フランス語とイタリア語なんかは間違えて辞書を引いてしまったりする。

 


:英語以外への取り組みはどのあたりから始まるのでしょうか?

:中学まではずっと英語、高校の時にはドイツ語、フランス語、3言語同時に勉強していました。
  受験の時なども3カ国語やってましたよ。その後、大学からはドイツ語が第一外国語になり、
  イタリア語、ラテン語、ギリシャ語など多くの言語を第三外国語として学びました。



:単純な話ですが、英語だけをやっている人と多言語習得者は勉強にかけられる時間がまったく違うと思うんです。
  亀井さんは「学習時間」というものをどのように捻出し、工夫してきたのでしょうか?

私は習得の期間が長いんです。

 

  簡単に習得したと思われがちなんですが、全ての言語をじっくり時間を
  かけている、というのが前提です。ドイツ語は専門なので3年~4年をかけて翻訳レベルまでいきました。


  イタリア語やフランス語などは大学時代に遅々として進む、という感じの習得でした。
  大学院の頃は現地の語学スクールにも通いました。

 

  フランス語なんかは10年以上やってから、その後現地での体験を通して
  一気に伸びた、という感じです。短期間に簡単に習得しているわけではない、と言う事です、


(ちなみに一度浅草の外国人が多く集まるバーで亀井さんとお会いした時に

 横にいたフランス人と亀井さんはフランス語で話されていました。
 亀井さんが席を外した隙にその外国人に彼のフランス語はどう?と聞くと、

 限りなく自然だと目を丸めていました。)



:そこまで同時期に沢山の言語に取り組んでいる、というわけではなく?

:ごちゃごちゃになるほど沢山はやっていません。

:そうは言っても相当な数をこれまでに習得されて来たのは事実ですよね。
  頭の中が混乱する、というようなことは起こらないのでしょうか?

:大学の4年までの頃はかなり混乱はありました。
  特にフランス語とイタリア語ですね。


  辞書を間違えて引いちゃうんです。

  フランス語を読んでいるのにイタリア語の辞書を

  引いてしまっていたり。



:それは言語間距離、というか単純に似ているから、という事なんでしょうか?

:ええ、そうです。

:そういう混乱は習得レベルがあがっていくと自然となくなるものですか?

:ええ、なくなっていきますね。



:多言語を処理する脳内はどうなっているんでしょうか?
  自然に瞬時に切り替えられるものでしょうか?

:そうですね、イタリア人が来ればイタリア語で話しますし、
  ドイツ人が来ればドイツ語で話します。国際的な場に行くと様々な国の人が
  いるわけで、そういう場では自然に話し分けられます。


  ただ、考える基本になっているのは日本語なんです。


  記憶、つまりあの人とあの時こういう話をした、というような情報のストックは
  日本語でしているんです。英語で話したら英語で記憶している人などいるようですが、
  私の場合は習得言語が多すぎてそれをしていると記憶しきれなくなるんです。


  だから無意識に記憶は日本語でする、というようになっていました。



:実際にコミュニケーションをしている時というのは日本語を介さないですよね?

:介さないんですが、頭の中に言いたい事がモヤモヤっと日本語で浮かんでいるんだと思います。
  
:その感じはとてもわかります。上手く言えない時などにふわっと日本語が表層化する感覚ですよね。

:そうですね。

 

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