第4回「英語講師兼通訳者/鷹森桃太郎さん」 カテゴリ: インタビュー


 

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父の与えてくれたもの、そして母への感謝。

:では最後に。
  0歳から日本にいながら英語で育った純国産バイリンガルというのは
  史実的に見てもおそらく桃太郎さんが元祖なんだと思います。

  そんな桃太郎さんから英語を学ぶ人たちへなにかメッセージをいただければと思います。

 

:僕は英語をとことん好きになって関わってきた、という環境では僕は育ちませんでした。
  いつもそこにあるもの、そういう関わり方をしてきたからです。

  僕から言えることは、「英語にのめり込まない」ということです。

  英語が好きで追求するのは勿論素晴らしいことです。
  ただ一定のレベルを超えればもう少し英語を軽く扱った方がいい。

  楽天の三木谷さんの著書に「たかが英語」という本がありますが
  本当にそうですよ。
 
  言葉を大事にすることは素晴らしいけれど力を入れすぎる事で
  見えなくなる事も多いんです。
  誤解してほしくはないんですが、前のめりになりすぎずに英語に
  取り組んでほしいと思います。

 

:そうですね、視野狭窄というのもあります。
  僕も学習を始めた最初の年(2年前)はかなり必死でやってました。
  見落としていた事も多かったように思います。

 

:セレンさんのようにこの短期間でスピーチやプレゼン、そしてエッセイまでこなせるようになるには
  相当の努力をされたんだと思います。
  
:自分ではそういう意識はないですし、まだまだのレベルですが、
  桃太郎さんのおっしゃる事はとてもよくわかります。
  肩の力を抜いて初めてスムーズに英語が伸び始めたような気はします。

 

:どんな分野にでも興味を持てるアングルというものがあります。
  僕はそれが映画やドラマだったりしたんですが、それを見つければ
  とても強い武器になります。

  そのアングルを通して対象を見る、ということであって、
  決して英語そのものが対象になっているわけではないんです。

 

:桃太郎さんのように、相当のレベルに到達した人ならではのアドバイスだと思います。

 

:英語の達人と呼ばれる人でも会話の中では沢山間違えます。
  日本人が持つ幻想の一つにプロは間違えないだろうというものがあります。

  日本語でも沢山間違えますよね。
  月並みな言い方で「間違いを恐れるな」というのがありますね。

  僕からすると恐れるなではなく「間違いはあるものとしておけ」という事です。
  回避しようとしてはいけません。
  日本人の英語を学ぶ人には少し気楽さが欲しいかな、とは思います。

 

  英語はそんなに敷居が高い言語ではない、非常にアクセスしやすいものです。

  ある程度の大事な事を押さえたら誰もが自分流で発信できる言葉だ、という事なんです。

 

  一人の教師として英語を嫌々やらざるをえない人々(学生やビジネスマン)を沢山見てきているので、

 

  その人たちに「英語にはこういうゴール設定の仕方とこういう身に付け方の道順があるよ

  という事を教えたいという気持ちがあります。

 

:桃太郎さんのお話のなかで僕はご両親というのはとても大きな存在なんだと感じます。

  桃太郎さんを英語で育てるという苦労や葛藤がお父様にもあったと、お父様は著書の中で
  お話しされていました。

  桃太郎さんはお父様に今どのような気持ちをお持ちですか?

 

:昨年、父親が病気でICUに入ったのですが、そのお見舞いに訪ねた時に僕の中に
  一つの不安がよぎりました。

  もし、父親が日本語で話してきたらどうしよう、という思いでした。

  これまでずっと培ってきた、そして貫いてきた英語、という接し方を忘れてしまうほどの重い症状なら
  これはいよいよ覚悟しないといけないな、と思っていましたが、ろれつの回らない意識が朦朧とした状態でも
  父親は英語ではなしてかけてきました。

  「喉が乾いたよ。」「病院のご飯はおいしくない。」とかそんなような事だったと記憶しています。

  そのとき、ほっとしたと同時に父親の徹底してきた信念のようなものも感じました。

  先ほどもお話ししましたが、父は父なりに周囲からも批判や疑問の声にさらされながら僕を育ててくれました。

  大変な思いをしてきたんだろうと今だから思えます。

 
  色々な声はあったかも知れないけれど、今僕が感謝している、といるのは揺るぎない事実です。

  僕に「英語」という確かに残るものをしっかりと与えてくれた。

  そんな父親に、今は感謝してるんです。

 

:と同時にお母様もまた桃太郎さんの心のバランスを考えながら
  ご苦労なされたんではないでしょうか?

 

:そうですね、母親はバランスを取るという役割を本当にしっかりと果たしてくれたんだと思います。 
  子供の頃大好きだった乱歩の本などはよく買ってもらいました。
  何度も何度も、僕が飽きるまで読んで聞かせてくれました。

  そしてなにより英語というものへ前のめりになりすぎずに
  一定の精神的な距離を取れたのは母の存在があったからです。
  英語へのアプローチがシリアスになりすぎないように子供だった僕に
  教えてくれたのも母ですし、母語である日本語の水準を育む下地は全て
  母が作ってくれたんです。

  日本語と英語の狭間で心のバランスを崩さないように僕を育ててくれた母には
  とても感謝しています。 

 

:お父様、そしてお母様ともに桃太郎さんの英語力のみに注力するのではなく広く将来、
  という視野で愛情を持って育てられてきた様子が目に浮かぶようです。

  そして今、鷹森桃太郎という1人の素晴らしい人間が確かに存在している。
  これはとても素晴らしいことだと思います。

 

:自分は英語の達人でもなんでもないんです。
  日本で英語を学ぶみなさんに僕からもっと伝えられる事があるかもしれない。
  なにか力になれる事があるかもしれない。
  そういう思いで、いつもいます。
  是非、英語を楽しみながら、リラックスしながら頑張ってほしいと思っています。

  気楽に英語に向き合い、「もう少しこいつに付き合ってやるかな」

  というくらいの距離感でやってみてほしいです。

 

:本日は本当に素晴らしいお話をありがとうございました。

  お父様、そしてお母様にもよろしくお伝えください。

  お二人のおかげで僕たちは素晴らしい人に出会う事ができました、と。

 

:はい、伝えておきます。

  こちらこそ、ありがとうございました。

 

 

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鷹森桃太郎/英語講師、通訳者

0歳の時より幼児英語教育の専門家である父親に英語を学びながら育つ純国産バイリンガル。 
その特異な家庭環境と教育が話題となり多くの新聞やテレビなどのメディアに取り上げられる。 
現在は英語講師として主に関西の大学で授業を担当。 
幼児英語教育からビジネス英語指導のまでをカバーするマルチ英語講師。 
知性的かつ品格の高い英語からビジネス、教育方面からの支持があつく、 
多方面での活躍をみせている。 
通訳という分野にとどまらず、指導者としての人気も高まり 
通訳メソッドとして、「ビジュアライズ」を使ったスピーキング上達法を

「フラッシュスピーキング」を独自に生み出す。 
現在の興味は英語ディベート教育における立論、

反対尋問、最終弁論の指導に米国の法廷弁護士の技術を取り入れる事。