ミュージシャンが5年のカナダ在住で英語を身につけた方法とは?アーティスト【名取伸悟】インタビュー カテゴリ: インタビュー


 

 

海外にいたからといって英語ができるわけではない、というのは

よく言われていることなので多くの方が気づいていることかもしれません。

長年海外にいてもできない人はできないし、留学経験=高い英語力という

図式になっていないのも現状だとは思います。

 

ただ逆に海外に行ったことで「英語ができる」ようになった人がいるのも事実です。

 

今回インタビューさせていただいた人がまさにそういう人なのです。

シンガーソングライターとして Mellow Symphonyという名義で活動をしている名取伸悟くんです。

5年間のカナダ生活を経て帰国した名取君に都内某所でインタビューさせてもらいました。

 

トロントに5年住み、英語留学という目的ではなくカナダに行った彼は

確かな英語力を身につけることに成功。

確かな英語力ってなに?と思われるかもしれませんが、

明確な指標となるのがこの IELTSの結果です。

 

 

全体のバンドスコアで7.0を記録しています。しかも試験対策はなしの初受験だそうです。

文部科学省の用いる対照表で言うと英検なら1級、TOEICでいうと945以上という換算スコア。

これは確かな英語力がないとまず達成できないことだと思います。

 

そんな名取君のインタビュー、色々な状況の中で英語を学ぶ人にとても有益な

情報が沢山つまったものになっていますので、ぜひご覧ください!

 

空港に着いて自分の英語が通じないことを知ってしまった

セレン:では、まずは最初に自己紹介から簡単にお願いできますか?

 

名取:名前は名取伸悟と言います。Mellow Symphony という名前で東京で11年くらい活動してまして

その後にカナダに留学することを決意しました。

それまで英語には触れたことがなくて義務教育で勉強したという程度でした。

 

でもやはり音楽家として洋楽からの影響は大きかったので、海外の音楽のその土壌そのものに

直に触れる機会はないか、とずっと考えてたりはしましたのでどこかで英語は避けて通れない

という意識もあったと思います。

 

セレン:伺いたいのは、ミュージシャンって洋楽の影響とかって受けるじゃないですか。

僕ももちろんそうなのでわかるんですが、でもじゃあそれで海外に行こう、ってなる人って

そんなにいないのかなあって。というかそれがむしろ許される環境にいる人、年齢的に可能な人って

そんなにいないのかなって思ったりもするんですが、

名取君がカナダに行くぞと決断した背景には何があったんですか?

 

 

名取:いくつかの事が重なってるんですが、もともとイギリスに行きたかったんですよ。

でも留学用のビザの取得が難しかったんです。

その時、たまたまニューヨークに旅行に行ったんです。

その時すごい街だなあという刺激を受けて、こっちの大陸もいいなあと思って。

でさらにたまたまその時トロントに行くんです。

 

で、その時の状況やいろんな消去法もあり、かつ住みやすい場所など色々

考慮しているうちにカナダっていう選択に行きついたんですよね。

 

セレン:カナダ行きを決意したとき、

ご自身にとって英語力ってどのくらいネックになりましたか?

 

名取:正直なところ、音楽的な興味のほうが強かったのであまり英語は

準備ができてない状態で行ったんです。

 

中高のテストでそこまで英語の成績が悪いというわけでもなかったんですが、まあ普通に

学校で勉強した、という程度です。行く直前に英会話学校みたいなとこに

週に1回だけ行ったりもしたんですが、

かろうじて簡単な質問くらいならできるかな、というレベル感だったと思います。

 

で、かつ行ってみたら全然通じなくて…

 

セレン:これからカナダに住むという状況でその英語力って不安ではなかったですか?

 

名取:かなり不安ではありました。でも、もう行くしかない、という気持ちもあったので。

2011年の震災を経て、音楽を東京だけでこのままやり続けていていいのか、

という視点もありました。

 

どこかの時点で自分の音楽のルーツを探るってことをしてみたかったんですよね。

それが一番根本のバネになっていたと思います。

 

ワクワクもありましたが、特に知り合いがいたわけでもないので、最初の方は特に不安でした。

空港に着いた時点で自分の英語は通じないんだと痛感していたので…

 

 

相手が言ってることがなんにもわかんなくて…

こんなので生活できるのかな、みたいな。

 

セレン:一番生活で困った事ってどんな部分でしょうか?

ミュージシャンって音楽的な部分ではなんとかなるかな、みたいなのがあると思うんですが

生活面ではそうはいかないですよね?

 

名取:最初の2週間くらいはスーパーでの買い物ですら困りましたよ。

店員さんが言ってることがわからなくて。

なんだかんだでいつも何かしら聞いてきちゃうんですよ。

 

セレン:あー、その「聞いてきちゃう」って感覚わかるなあ(笑)

そこで聞いてくんなよー的な?(笑)

 

名取:そうそう(笑)

日本とかだとコンビニの買い物くらい無言で終わるじゃないですか。

それがカナダだと色々聞いてきちゃうんですよね。

それが最初の2週間くらいは何を聞いてるのかがわからなくて

やみくもにイエスイエス、って言ってましたね。

 

後でわかったのはビニール袋がいるか、とかそういうことを聞いてるだけだったんですが。

 

セレン:カナダでの英語使用率ってどんな感じだったんでしょうか?

 

名取:最初は日本人だけがいるところに行ったんです。

現地の情報が欲しかったというのがあって。なので最初の1ヶ月は実際に

使っていた言語はほとんど日本語だったような気がします。

 

ミュージシャンとしてはカナダの人ってよくパーティーをするんですけど、

そこで招待されたり、ギター持っていくとなんか弾きなよっていってくれたりして。

最初のほうはそうやって歌わせてもらったりしてましたね。

 

でそこから発展してイベントに呼んでもらえたりするようになったっていう感じですかね。

 

セレン:音楽をやるってことに関していうとやっぱり日本とは違うものですか?

 

名取:そうですね、違うと思います。夏になるとフェスとかお祭りをよくやるんですよね。

特にトロントは色々な人種が集まってるので、人種ごとのお祭りなんかも盛んで。

 

で、そういうとこに行くと必ず生演奏があるんです。かならずステージがあって

誰かしらが演奏をしていて、っていう感じですかね。

 

音楽がすごく生活と密着しているんです。

おじいちゃんおばあちゃんなんかでも音楽を心から楽しんでいて

楽しくなると踊り出したりして。

 

そういう景色を僕はとても美しく感じていましたね。

 

 

セレン:カナダの音楽の特長ってあるんですか?

僕なんかの感覚だとニール・ヤングとかポール・アンカとかロン・セクスミスとか、

なんかちょっと湿り気があるというか…、ちょっと暗いような印象を持ってるんですが。

 

名取:確かにそれはあると思います。ジョニ・ミッチェルなんかもどこか影がある。

 

セレン:それってたまたまカナダ出身のシンガーソングライターで有名な人に

そういう人が多いだけなのか、ローカルレベルでもそういう雰囲気はあるのか、どうなんですか?

 

名取:そういう一面も確かにあるなあと思うんですが同時に

メロコアとかパンクっぽいバンドも多いんですよね。オルタナ系もあったりして。

 

ただ巷の音楽を近くで見てきた感覚として、マイナーコードよく使うなあ

というのは感じてたかもしれません。シンガーソングライターに絞るとよくその傾向が

見られたかもしれません。

 

カナダって当たり前ですが英語圏なので、カナダで人気が出るっていうのは

つまりそのまま世界と繋がれるってことなんですよね。

日本で人気が出ても一旦それは日本のもの、として

国内のものにとどまると思うんですが、カナダはやはり違って。

 

トロントの小さな箱でツアー終わりにたまたま寄りましたっていうミュージシャンの人がいて、

ずいぶんうまい人だなーと思って聞いてたら、実はレディーガガのツアーギタリストだったんです。

 

世界レベルでやっている人がサラッとくる場所なんだなあって感じたときは

カナダってやっぱり世界とつながっているんだなあと感じましたね。

独自の音楽性もそうですが、ダイレクトに世界と横につながっているところ、

という意味では刺激的でした。

 

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