楽天の新規英語事業 Rakuten Super Englishは英語業界の新しい風になるか? カテゴリ: インタビュー


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Rakuten Super Englishという名前を聞いたことがあるでしょうか?

あの社内公用語を英語にした楽天がいよいよ英語学習業界に乗り込んできた、と話題になりました。

ただ事業としてはどれほど進んでいるのか、そのサービス自体がまだ曖昧な部分

などを感じられている方も多いのではないでしょうか?

楽天といえば「社内公用語英語化」で様々な議論や話題を呼んだ

企業として認識されている方も多いでしょう。

特に英語を学ぶ皆さんには気になる点も多いのではないかと思います。

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今回はその楽天がエストニアの企業 Lingvistとゲーム要素の高い英語学習アプリの開発で知られる

ReDucateとの3社でスタートさせた新たなプロジェクト Rakuten Super Englishに関して

毎年お台場の国際展示場で開催されている教育IT ソリューションEXPO(通称EDIX)

に参加した際に代表の皆さんにお話を伺う機会がありましたので、

インタビュー記事として掲載させていただきます。

Rakuten Super Englishってなに?楽天の社内公用語英語化ってどうなってるの?

などなど気になる方はぜひ読んでみてください!

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右から:

楽天教育事業シニアマネージャー葛城崇氏

Lingvist共同設立者マイト・ミュンテル氏

ReDucate代表取締役社長の田中耕平氏

(※インタビューは全て英語で行われたものを翻訳したものです)

 

Rakuten Super English」とはなんなのか?

セレン

皆さん、本日は貴重な機会とお時間をありがとうございます。

新しい取り組みや楽天での社内公用語英語化の現状など色々聞かせていただきたいと

思っています。

まず教育事業シニアマネージャーでもある葛城さんにお伺いしたいのですが、

今回の3社での事業のスタートにはどういう背景があるのでしょうか?

葛城

ご存知の通り楽天は7年ほど前に社内公用語英語化の取り組みを開始しました。

そこから企業として多くのことを学んできた背景があります。

そこに「きこえ~ご」や「えいぽんたん!」などの英語学習アプリのノウハウを持つReDucateや、

そして新しくパートナーになったエストニアのLINGVIST、この3社が加わることで

何か新しいものを生み出せるのではないかと思っています。

私たち楽天は社内公用語英語化を通じたノウハウという何よりの強みを持っています。

この3社の協業こそが学習そのものを効率的にしてくれ、またさらに楽しくしてくれるものだと思っています。

楽天が英語学習に企業として取り組んだ経験、そこにLingvistのReDucateのサイエンスやデータ、

ゲーミフィケイションの要素が加わることでこれまでになかった

アプローチができるのではないか、そう考えています。

セレン

新しく発表されたRakuten Super English」とはどういうものなのでしょうか?

ちょうどこの間ニュースで拝見し、色々感じた部分があるんですが、一番最初に

思ったのが、具体的にどういうサービスなんだろう、ということでした。

葛城

Rakuten Super English」というのはサービス全体の名前です。

主にビジネスパーソン・学生・時間がない方にお勧めの「Lingvist」

小・中・高校生、英語を学び直したい大学生・社会人にお勧めの「まなみ~」

第一弾としてリリースさせていただきました。

そして今後に向けて、現在開発中のサービスもあります。

セレン

なるほど、なんとなくイメージが湧いてきました。

楽天ならではの特色、のようなものはあるんでしょうか?

葛城

まずは「Lingvist」や「まなみ~」のような単語学習アプリを提供し、それらを使って、英語学習を

習慣化できるように取り組みます。今後は、社内公用語英語化で得たノウハウをベースに

英語力強化のコンサルティングや英単語学習以外にもテクノロジーを

活用した英語学習ツールを提供していきます。

セレン

Rakuten Super English」というのはそもそも B to B(企業向けサービス)なのか、

B to C(顧客向けサービス)なのか、どちらなんでしょうか?

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葛城

それに関しては両方ですね。今現在はアプリの提供などがメインなので事実上B to C

にはなっていますが、「きこえ~ご」などは既に B to Bでも提供しています。

セレン

B to B ビジネス(企業向けサービス) としては具体的にどのように提供されていくのでしょうか?

葛城

楽天が社内公用語英語化の取り組みを開始したとき、かなりの驚きを持って迎えられました。

当時はまだ他にそのような会社は日本にはほとんどありませんでした。

英語というのは便利なツールである同時に、必要不可欠なツールでもある、

というのが私の認識です、特にビジネスという文脈では。

昨今、様々な日本の他の企業でも英語の需要というのは高まってきています。

そこで我々としては社内公用語英語化を通じて培ってきたノウハウを提供することで企業向けに

社内公用語英語化コンサルティングなども行っていきます。

語彙力が圧倒的に足りていない

 

セレン

資生堂などの企業も来年から本社部門の英語を公用語にすることなどが話題になっています。

その辺りのノウハウは知りたい企業も多いのではないかと思います。

楽天での社内公用語英語化を担当されてきた葛城さんですが、

どのような事に気づき、またどんなことをその経験から学ばれてきたのでしょうか?

葛城

多くの日本人は学校で英語を習い学んでくるわけです。

小学校もしくは中学校からスタートし、大学でも学んでいます。

しかしながら、多くの人が英語を自分のツールとして使いこなせているか、

というと疑問が残る部分もあるわけです。

楽天社内で従業員がどのように英語を使い、また習得していくか、

というのを私は特に注意深く見てきました。

従業員のTOEICスコアが平均830点(楽天(株)単体)を超えるというのは

一つの到達点であるとは思いますし、そういう経験を通し我々自身もメソッドや

ノウハウを確立してこられた、ということがあります。

また、それらはビジネスパーソンだけではなく、子供や学生にも

応用可能なものであるという確信があります。

社内公用語の英語化を行い、英語を多国籍な従業員同士における

必要なコミュニケーションツールとして多くの従業員が習得および

活用してきたからこその背景が楽天にはあります。

その経験に基づき私たちは英語学習者のレベルに応じたベストな方法、または状況に応じベターな

方法を提供していけるのだと思います。

具体的に気づいたことの一つは、TOEICスコアに限らず英語に抵抗があったり、

難があるレベルの人というのは語彙力がまずは圧倒的に足りていない、ということです。

その経験があったからこそ我々はまず語彙力増強のためのアプリ「Lingvist」そして「まなみ~」を

一番最初にローンチさせたのです。

(※「Lingvist」はLingvist社が、「まなみ~」はReDucate社が制作)

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語彙力増強というのは言語習得の観点から言ってもとても大事な部分なのです。

また、学習の継続が非常に大切で、どのようにして学習を継続させるかがポイントに

なるということも気づきました。

日々忙しいビジネスパーソンを英語の習得に継続的に向き合わせるのはそう

容易なことではありませんから。

そのような経験を踏まえ、たとえばReDucateが提供するアプリはゲーミフィケーションと学習の掛け合わせで構成されています。

学習機能だけでなくゲームの要素があるからこそ学習者は楽しく、

かつスムーズに学習を継続することができるのです。

セレン

そうすると「Rakuten Super English」に含まれるプロダクトというのは楽天社内での経験など

がそもそもベースになっているんですね。

言語習得の土台は語彙力の増強

ではここでエストニアの会社Lingvist 共同創業者のマイト・ミュンテル氏にも話を聞いてみたいのですが、

簡単に自己紹介をお願いできますか?

マイト・ミュンテル

初めまして、エストニアのLingvistCEOのマイト・ミュンテルです。

我々のゴールは自分たちのプロダクト、またはAI機能を駆使し、学習を効果的にそして早くする、

というものです。

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10年間素粒子物理学者として働き、また科学分野での研究も多くしてきました。

ヨーロッパ原子核研究機構(CERN)でヒッグス粒子を発見したチームメンバーの1人でもあります。

そういった経験、バックグラウンドを通しコンピューターのアルゴリズムを駆使すれば学習にも応用できる、

という結論に至りました。

すぐに実験に取り掛かり、同じ思いを持った共同創業者に出会い3年前にLingvistを設立しました。

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セレン

英語ってマイトさんにとっては母語ではないですよね?第二言語でしょうか?

マイト・ミュンテル

はい、第二言語ですね。

セレン

さすが言語習得に携われているだけあって流暢に話されますね。

マイト・ミュンテル

ありがとうございます()

セレン

Lingvistを立ち上げるに至る具体的にこれ、というようなストーリーやエピソードはあるのでしょうか?

マイト・ミュンテル

フランス語を話す地域に住んでいたことがあります。

科学者として働いていたのですが、日々忙しく言語を学ぶ時間があまりありませんでした。

学校での成績も語学に関していうとすごく悪かったのを覚えています。

でもコンピューターっていろんなことをすぐに学びますよね。

膨大なデータを簡単に一気に処理できてしまいます。

人間の記憶がどのように働き、またそれらをどうコンピューターに反映させ、

数学的な枠組みの中でどのように機能させるか、にその時すごく興味を持ったんです。

ホントはフランス語を学びたかったんですが、それ以上にコンピュータープログラムの

ほうに興味を持つようになったんです。

そこから開発を始めたんですが、すぐに自分のやっていたことが正しいとわかりました。

ほぼ何も知らないところからのスタートでわずか200時間のフランス語学習の後に

フランス語の語学試験で高校卒業レベルにたどり着くことができたんです。

セレン

ご自身が実験台になり検証されてきたんですね。

マイトさんご自身が言語習得のプロセスにおいて最も難しいと思う点はどこですか?

またその考えをどのようにご自身のプロダクトに反映されてきたのでしょうか?

マイト・ミュンテル

最も大変なパートは個人的にはスピーキングかもしれません。

多くの人もそうかもしれませんが、知識やルールを知っていても、

すぐに誰でも話せるようにはならないのです。

またメンタルj面で言うと、恐れの部分もあるとは思います。

人前で誰かに不慣れな言語を話すって怖いことなんですよね。

論理的な部分ではなく精神的な部分が絡むところがスピーキングの難しいところなんです。

だからこそ我々はまずはすべての基礎になる語彙から始めようと思ったんです。

そこから文法、リスニングというように機能は拡張するのですが、

まずは土台になる語彙をしっかり固めるところから始めようと思ったんです。

スピーキングはその後に来るものだと思います。

セレン

なるほど、スピーキングが一番難しいからじゃあスピーキングアプリを作ろうと

安易に飛びつかないところが元科学者のマイトさんらしいな、という印象です。

現状では語彙力にフォーカスしているLingvistですが、スピーキングにも今すぐ使えると思いますか?

マイト・ミュンテル

んー、今はまだ、という感じですね。ただもちろん使い方次第だとは思います。

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